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声だけで近づいた距離
大学生の“はせ”には、
顔も知らないのに、ほぼ毎日通話する相手がいた。
ゲーム仲間の女性――むいさん。
声とテンポだけで、少しずつ距離が縮んでいく関係だった。
冗談として流した一言
ある日、流れで自分が童貞だと話すと、
彼女は笑うように、こう言った。
「じゃあ、私で捨てとく?」
冗談。
そう思って、はせは笑って流した。
――でも、そのあとも、彼女は何も訂正しなかった。
現実に向かう途中で
それが冗談じゃないと気づいたのは、
東京行きの電車に乗ってからだった。
待ち合わせ場所に現れたのは、
想像と違う、ノースリーブにパイスラの“綺麗なお姉さん”。
「はせ君?」
その一言で、通話の声と現実が重なった。
冗談が意味を変えた瞬間
一杯飲んで、昼を食べて、
流れるように言われた――
「ホテル、行こっか?」
ゲームの中だけの関係だったはずなのに。
冗談だと思ってた言葉が、
現実に変わる瞬間だった。

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